脱毛についての知識が全くない方の中には「サロンやクリニックでの脱毛は何度も通う必要がある」と聞いて驚いた経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
そもそもカミソリやシェーバーなどの自己処理でも一回である程度きれいになるのに、「プロが何回もかけて施術するのはなぜ?」と疑問に感じるかもしれません。
そこで今回は「脱毛が一度で終わらない理由」について、脱毛の仕組みやムダ毛のメカニズムを交えながら分かりやすく解説することにしました。
サロン・クリニックでの脱毛と自己処理の違い
自己処理と言えば、カミソリやシェーバー、毛抜き、除毛クリームなどを使っている方が大半でしょう。
これらの方法は確かに処理すれば見た目にはムダ毛が除去され、きれいに見えるかもしれません。
けれど時間が経つと新たなムダ毛が出てくるのはご存知の通りです。
いっぽう、サロン・クリニックで施術を受けて脱毛完了までたどり着くと、その後しばらく(期間には個人差があり、施術方法でも異なる)はムダ毛が生えてこなくなります。
では何故「同じムダ毛処理」なのに、自己処理とプロの手による脱毛では毛の生え方に決定的な違いが出るのでしょうか?
答えを知るには、体毛のメカニズムについて基本的な知識を備えておく必要があるでしょう。
体毛のメカニズム
そもそも私たちが目にしている体毛や頭髪は、皮膚から外に出ている「毛幹」という一部分に過ぎません。
草木と同じように、体毛は表面に出ている毛だけでなく、それらを支える組織が体内で形成されています。目に見えている毛は全体の1/3程度と言われており、除去したところで「根っこ」は残っているため、時間が経てば生えてくるわけですね。
体毛に関わる組織はいくつも存在しますが、中でも毛の製造部分と言える「毛乳頭」と「毛母細胞」は、毛のメカニズムを知る上では欠かせない組織です。
毛乳頭と毛母細胞は一つのセットとなり体毛の根っこ部分を形成しており、これらの部分が発毛の指令及び発毛機能そのものの働きに大きく関わっています。
体毛は生えてから抜け落ちるまで成長期・退行期・休止期の3つからなる「毛周期」と呼ばれるサイクルによって成り立っており、それぞれの段階の応じて以下のような働きが起こっています。
【成長期】
①毛乳頭が毛母細胞に発毛の命令を出す
②毛細血管を通して得たアミノ酸など発毛に必要な栄養素を毛母細胞が取り込む
③毛母細胞は細胞分裂を繰り返し、毛の主成分「ケラチン」を生成する
④毛球部のメラノサイト(色素形成細胞)が、黒い毛の元となるメラニン色素を生成する
⑤毛母細胞は細胞分裂時にメラノサイト(色素形成細胞)からメラニン色素を受け取り、毛の生成を行う
⑥毛母細胞が細胞分裂を繰り返し、毛が伸びていく
【退行期】
①毛母頭と毛母細胞が分離を始める
②毛の成長スピードが落ちてくる
③毛根が押し上げられていき、抜けやすい状態に移行する
【休止期】
①毛母細胞の細胞分裂が停滞
②毛が自然に抜けていく
つまり体毛は放置していても自然に「抜けては生える」を繰り返しているのです。
毛周期の中で様々な働きが行われるる中でも、毛母細胞が毛の製造に欠かせないことは上記の体毛のメカニズムを見れば理解できるでしょう。
そしてこの毛母細胞は、自己処理などによって毛を剃ったり抜いたりしても破壊されるものではありません。
毛母細胞が存在し活動を続ける限りは、毛を剃っても抜いても生え続けますので、自己処理からしばらく経つとムダ毛がまた生えてくるわけです。
いっぽう、サロン・クリニックでの脱毛は自己処理のような「とりあえずの脱毛・抑毛・除毛」を目的としておらず、「毛の生える仕組みを根本からストップさせることを目的としている」点が大きなポイントです。
サロン・クリニックでの脱毛のメカニズム
サロン・クリニックで主流となっている光脱毛やレーザー脱毛は、皮膚から露出している体毛を除去するための施術ではありません。
アプローチするのはあくまで「露出している毛ではなく、毛根」なのです。
ここまで言えば察しが付く方もいらっしゃるでしょうが、光脱毛やレーザー脱毛は毛の生える仕組みに欠かせない毛母細胞をターゲットにしています。
光やレーザーを毛根にのみ反応させることで毛母細胞に熱を加え、最終的に細胞分裂を停止させる狙いのもと施術が行われています。
従って、施術直後にムダ毛がきれいさっぱりなくなるような変化は起こりません。
もちろん目に見える変化が起こっていないとはいえ、毛母細胞には熱ダメージが加わっているため、最終的に毛母細胞が熱によって変化し、細胞分裂を停止していくことで「毛が生えてこなくなる」のです。
サロン・クリニックでの脱毛が1回で終わらない理由は?
脱毛のメカニズムは理解できたとしても、「じゃあ一度光やレーザーを照射すれば終わりじゃないの?」と感じるかもしれません。
ところがそう簡単な話でもありません。
理由は先ほど簡単にご説明した「毛周期」が大きく関係しています。
実は光脱毛やレーザー脱毛はいつでも効果を発揮するわけではなく、3段階ある毛周期の中でも「成長期」の毛にしか効果がありません。
更に毛周期自体、体毛全体で統一されておらず、全身の体毛の中でも同時に成長期を迎える毛はわずか約20%と言われています。
従って、一度の施術で効果が及ぶ体毛の割合は一部でしかなく、毛周期に合わせて施術を繰り返すことでまんべんなくすべての体毛にアプローチしていく必要があるのです。
ですから正確には「一度の施術だけでは効果がない」という表現は正しくありません。
一度だけの施術でも成長期を迎えたタイミングの体毛には確実にダメージが与えられています。
それでも、当然ながら利用者の目的は「特定部位の体毛をすべて処理する」ことですから一度だけではツルツルの肌を手には出来ないんですね。
脱毛完了までの回数は?
脱毛完了までの回数は部位や施術範囲、施術方法などによって差がありますが、施術回数が多くなりがちな人の傾向はあります。
【施術回数が多くなる人の特徴】
・毛量が多い
・体毛が細い、色素が薄い(多くの脱毛器は黒いメラニンに反応をする仕組みなので、色素の乏しい毛は反応が弱くなりやすい)
また、参考までにサロン脱毛と医療脱毛での脱毛完了までの回数・期間の目安をご紹介しておきましょう。
【サロン脱毛で全身脱毛完了するまでの回数、期間の目安】
・平均12~18回、期間は2~3年(2か月周期で通うケースが多いため)
【医療脱毛で全身脱毛完了までの回数、期間の目安】
・平均5~8回、期間は10ヶ月~1年半(サロンと同じく2か月周期で通った場合)
ちなみにサロン脱毛より医療脱毛の方が回数が少なくなりやすいのは、医療脱毛では医療行為として強力なレーザー光を使用した施術を行えるからだと考えてください。
一般的に「永久脱毛」と言われる施術を受けられるのも医療脱毛だけです。
※医療脱毛1回で光脱毛3回分の効果だと言われることもある
脱毛効果を最優先するならやはり医療脱毛がおすすめですが、費用面、通いやすさ、雰囲気など様々な側面からサロンとクリニックを比較すれば、どちらが向いているかは人それぞれでしょう。
まだ脱毛デビューしていない方は、ひとまず無料カウンセリングや体験キャンペーンなどを活用して、プロによる脱毛を肌で体感してみてはいかがでしょうか。